田中由浩さんオススメ

『脳のなかの幽霊』

V・S・ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー 著、山下篤子 訳/角川書店(1999)

失った片腕に対して鏡を置いてもう一方の腕を写すことで視覚的に補完し、幻肢痛を和らげるミラーセラピーを考案したラマチャンドランの名著。体の一部を自分のものではないと思ったり、両親を外見だけ似ている別人と感じたり、さまざまな症例と共に脳の機能について考察している。自己とは何か、身体と意識の関係やその可塑性を考えさせてくれる一冊。
犬飼佳吾さんオススメ

『正義論 ベーシックスからフロンティアまで』

宇佐美 誠、児玉 聡、井上 彰、松元雅和 著/法律文化社(2019)

みんなのためになるのであれば、少数の者は犠牲になっても構わないのか? 私たちの社会の秩序の根幹をなす倫理や正義といった概念を、私たちはどう考えればいいのだろうか? 近代国家と社会を支える価値の問題を考えるきっかけを与えてくれる貴重な一冊。
犬飼佳吾さんオススメ

『ダーウィン・エコノミー 自由、競争、公益』

ロバート・H・フランク 著、若林茂樹 訳/日本経済新聞出版(2018)

伝統的な経済学者が考える以上に、私たちは慈悲深く、嫉妬深い。そんな私たちが目指すべき社会像にはどんな可能性があるのか。経済学だけでなく進化生物学の思考法を織り交ぜることによって、来たるべき社会のルールや制度のあり方が提案されている。近未来の格差社会や少子高齢社会の到来に向けて、一歩踏み込んだ議論を知りたい方にオススメ。
犬飼佳吾さんオススメ

『社会的ジレンマのしくみ「自分1人ぐらいの心理」の招くもの』

山岸俊男 著/サイエンス社(1990)

個々人が自分の利益を求めることが、回り回って自分たちの首を絞めてしまう社会的ジレンマの問題を、私たちはどのように乗り越えればいいのか。本書では、筆者らの社会心理学の研究をベースに、多角的視点から個人の利益とみんなの利益との関係を考える道筋が示されている。
犬飼佳吾さんオススメ

『市場の倫理 統治の倫理』

ジェイン・ジェイコブズ 著、香西 泰 訳/筑摩書房(2016)

人類は2種類の道徳律を選択できる。ひとつは個人が協力し合ってオープンに価値を生み出す「市場の倫理」であり、もうひとつは閉じた集団の秩序を維持するための「統治の倫理」である。どちらも必要であり、立場や状況、必要に応じて適用すべき道徳律が異なる。それを5人の登場人物の対話という形でわかりやすく論じる。

『つながり社会的ネットワークの驚くべき力』

ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー 著、鬼澤 忍 訳/講談社(2010)

「個人の行動がわかれば社会がわかる」「社会は個人を調べてもわからない」これらの考え方はどちらも間違いだ。人はそのつながりにおいて、知らず知らずのうちに影響を与え合い、それを通じて社会を形成する。そして、この社会的ネットワークにより一人ではできないことも行えるのだ。

『ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』

アレックス・ペントランド 著、矢野和男 解説、小林啓倫 訳/草思社(2015)

近年のセンサやスマートフォンの発達により、これまで考えられなかった豊富なデータによって社会科学が可能となった。そこでは、情報の流れを逐一追って、そこから社会のモデルを構築することができる。さらにその予測から、組織の生産性や創造性を改善することが可能となる。

Copyright © 2015-2020 NTT研究所発 触感コンテンツ専門誌ふるえ