2050年をSFプロトタイピング②

30年後の『ふるえ』
特集記事で未来予想

プロトタイピング協力:矢代真也(SYYS LLC)

『ふるえ』が2050年にも発行されていたら、どんな記事が生まれるのか、SFプロトタイピングで未来を予想する本コーナー。第2回目は、人とのつながり方の進化をプロトタイピングしてみました。知らない間に他人と比較してしまうSNSなどのネット社会の問題。さらには、メデイアを介さない人とのつながり方や、人以外の生物とのつながり方なども登場するかもしれません。

「自分を見つけ出すためのVR」 2050年7月発行 Vol.209より

検索技術やアーカイブ、コンテンツの自動生成技術の発展により、自分の創作物に似たものがすでに他者もしくはAIによって創作済みという状況が一般化した。そのため、学生や若いクリエイターの間では、何も生み出せないと悩み、自己効力感が低下するなどメンタルヘルスの問題が生じている。一方で彼らは、そのような問題に解がないことに気がついており、「タイム・ミラー」と呼ばれるVRケアサービスを生み出した。さまざまな形で記録されたその人の過去を一人称視点で再体験することができる。忘れていたような事実と現在をつなげることで、あらためて「自分」を見つけるという同サービスは、アイデンティティーのあり方をどう変えてくれるだろうか。

他人と自分を比較してしまう瞬間は、SNSの多様化などにより増え続けるでしょう。そこから悪影響を受けないために自分を確立することへのサポートこそ、テクノロジーが担うべきなのかもしれません。(編集部)

「考えるだけで瞬時につながる違和感」  2050年9月発行 Vol.210より

脳から発信される信号を細かく読み解き、人の思考や感情を出力できる装置 「ブレイン・トーク」。2040年代から実用化が始まった、思考で直接文章を書くことができる技術だ。慣れてくると、非常に高速に言葉を記述できる。そして今、アウトプットだけでなく、脳インプラントを介した脳への信号のインプットが実用化目前となっている。誰かのアウトプットを言葉に変換せず、そのまま別の人のインプットへつなぐことで、これまでにないスピードで他人の思考が入力される。時間をかけることなく瞬間的に終わるコミュニケーションに対して、体験者からは、そのあまりの速さと理解の深さに違和感も報告されている。実証実験の現場からのレポートをお届けする。

思考を直接やり取りすることが可能になり、他人とのやり取りに音声や文字、映像などを介する必要がなくなったとしたら、人間のコミュニケーションにおいて「時間」とはどんな意味を持つのか、もう一度考え直す必要があるでしょう。(編集部)

「動物の“環世界”から地球を覗くプロ」  2050年11月発行 Vol.211より

動物とのやり取りを通じて世界を把握する「グルーミング・トランスレーション」が注目を集めている。犬や猫と信頼関係を築くことが得意な翻訳者は、ペットが散歩などで体験した感覚のデータを解析し、動物にしか感じられない世界を人間にも感じられるように翻訳する。動物の目線で世界を見つめ、人がなかなか気付くことのできない社会問題や環境保全、気象予報などの業務に活かしている。かつてシャーマンが神と世界をつないだように、動物の声を伝える人々の仕事術を聞いた。

動物特有の身体感覚や行動特性を元に世界を把握する新しい方法論が生まれた。動物とコミュニケーションを取りながら、それを翻訳する。それによって新しい視点が生まれれば、社会課題の発見や解決につながっていくはずです。(編集部)


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