2052年をSFプロトタイピング⑦

30年後の『ふるえ』
特集記事で未来予想

プロトタイピング協力:矢代真也(SYYS LLC)

『ふるえ』が30年後にも発行されていたら、どんな記事が生まれるのか、SFプロトタイピングで未来を予想する本コーナー。第7回のテーマは「食」です。毎日経験することになる食体験。その価値をいかにして高めるのか、記事の予告風にSFプロトタイピングして、未来の姿を探ってみました。
※この記事はフィクションであり、登場する製品などは架空のものです。

「“腹減った…”とつぶやくとわかる“今食べたいもの”」  2052年3月発行 Vol.219より

「腹減った……でも、何が食べたいのかわからない」──こんな経験をしたことはないだろうか。大抵の場合、食事を口に入れて初めて、「これが食べたかった!」とわかるのだ。しかし、残念ながら一日の食事の回数は限られている。そこで開発されたのが、食事提案アプリ「HARAHETTA」。おなかが空いたときに「腹減った」とつぶやけば、その声の高さや抑揚といった感情データと、心拍数や血糖値といった生体データから、その人が食べたいものを瞬時に提案してくれる。食が楽しくなったという声と、逆に物足りなくなったという声、それぞれのユーザーの声をお届けする。

自分が「食べたい」と感じているものを正確に把握できる人は、そう多くはありません。そこでは、無意識の食の願望を把握するシステムが活躍してくれそうです。一方で、食事選びに失敗した体験があるからこそ、食べたいものと出会えた喜びが生まれるという考え方もあり、食の幸せに関する議論を呼びそうです。(編集部)

「楽しく食べて健康になる位置情報特集 ゲーム」 2052年5月発行 Vol.220より

街の飲食店を盛り上げるゲームが話題だ。「Eatress」は、2つのチームに分かれ、飲食店で食事をすることで陣地取りをする位置情報ゲーム。街の飲食店は得点スポットになっており、それぞれのチームのメンバーが飲食店で食事をすると、食事の栄養や満足度などに合わせてポイントをゲット。何店か巡っているうちに、その人に必要な栄養を含むメニューを提供する店が移動先としてレコメンドされるようになる。ゲーム感覚で回っていると、飲食店との新しい出会いも生まれる。ゲームで移動と食を楽しみ、健康になったトッププレーヤーの生活スタイルをレポートする。

自宅の周辺にある飲食店であっても、初めて入るには何らかのきっかけが必要です。ゲーム感覚で、味への冒険や栄養バランスをサポートしてくれる仕組みがあれば、外食の楽しみ方はもっと広がるでしょう。(編集部)

「ペットが育む共食の地域コミュニティ」  2052年7月発行 Vol.221より

2050年代には、核家族化と少子化の影響から、ほとんどの家庭にペットが迎え入れられている。それに伴ってペットを家族として扱う制度や認識も広がっている。食を通した地域コミュニティ創造の一環として生まれた「共食カフェ」にもペット連れが溢れ、犬と猫が仲良く共食を楽しむ姿も見られるようになった。話を聞くと、ペットのほうから共食カフェに行こうとせがむので、人のほうが連れてこられているのだという。人同士のコミュニケーションから現れた、種を超えた食コミュニティーに注目する。

コロナ禍で機会が減ってしまった共食の体験ですが、地域や家族構成の変化で今よりも価値が高まっていく可能性もあります。ペットに連れてきてもらう種を超えた共食体験も、楽しいものになりそうです。(編集部)


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