山古志訪問レポート

林 篤志氏が関わる「Nishikigoi NFT」プロジェクトは新潟県長岡市の山古志地域(旧山古志村)で実施されています。山古志地域とはどのような場所なのか、実際に訪問して、その土地柄や文化的背景を感じてきました。

山古志は、日本でも有数の豪雪地帯ですが、JR長岡駅から車で30分ほどと、意外に行きやすい場所です。まず、うかがったのは「やまこし復興交流館おらたる」(写真1)。新潟県中越地震の被害から復興への経験を伝えると共に、山古志の魅力を発信する交流施設です。ここでは、長岡市山古志支所の方や、山古志住民会議の方にお話をうかがいました。

山古志はニシキゴイ発祥の地として知られています。養鯉に利用する棚池があらゆるところに見られました。棚田と棚池が並ぶ風景は美しく、観光名所にもなっています(写真2)。ニシキゴイは、食用の真鯉が突然変異したものと言われていますが、それを「美しい」と感じて繁殖させたところに、山古志の人々の感性が表れていると言います。また、各所で「山古志の人々は博打が好きだ」という話も聞きました。それは、雪深い冬の間の遊戯として、人々のコミュニケーション手段としても機能していたのでしょう。ニシキゴイの養鯉も「やってみよう」という気持ちや、「価値あるものが生まれる可能性」に、面白みを感じて始まったのかもしれません。

山古志を象徴する行事に「牛の角突き」があります(写真3)。いわゆる闘牛ですが、勝負を付けずに必ず「引き分け」に収めます。勢子と呼ばれる男たちが間に入り、戦った牛や関係者の思いを守り、称えるのです。最近は、若い女性にも人気があり、「推しの牛」の応援に駆けつけるそうです。

Nishikigoi NFTを購入した人は、どこに住んでいるかによらず、山古志の「デジタル村民」と呼ばれます。購入を機に、県外から山古志を実際に訪れ、「里帰り」する人もいます。

NFTから始まるデジタル村民と山古志の住民の交流は、これからますます盛んになるでしょう。ただし、NFTを発行したからといって、どこの地域でもうまくいくとは限りません。山古志に住む人々の、NFTという未知のツールでも「やってみよう」という冒険心や遊び心、周囲との関係を大事にする気質や文化があるからこそ、このようなプロジェクトが着実に進んでいるのだと感じました。

[写真1] 「おらたる」の交流スペース

[写真1] 「おらたる」の交流スペースにはNishikigoi NFTに関する展示もありました。デジタル村民に向けたメッセージも。

[写真2] 山古志の特徴である棚田と棚池が並ぶ風景

[写真2] 山古志の特徴である棚田と棚池が並ぶ風景。観光名所のひとつになっています。

[写真3] 牛舎の周りでは、牛たちがひなたぼっこをしていました

[写真3] 牛舎の周りでは、牛たちがひなたぼっこをしていました。「牛の角突き」は山古志闘牛場で開催されます。


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