2051年をSFプロトタイピング⑤
30年後の『ふるえ』
特集記事で未来予想
プロトタイピング協力:矢代真也(SYYS LLC)
『ふるえ』が30年後にも発行されていたら、どんな記事が生まれるのか、SFプロトタイピングで未来を予想する本コーナー。第5回のテーマは、働き方、子育てです。リモートワークやリモート授業がコロナ対策として導入されましたが、未来ではどのように変化しているのでしょうか。記事の予告風にSFプロトタイピングしてみました。
※この記事はフィクションであり、登場する製品などは架空のものです。
「気分次第で空を飛ぶエクストリームオフィス」 2051年11発行 Vol.217より
リモートワークが日常となってから、「旅をしながら仕事をする」というスタイルが人気だ。そんな中、非日常的な空間で仕事をすると気分が高揚するという理由で、自律飛行する有人ドローンで空を飛びながら仕事をする「エクストリームオフィス」が注目されている。完全防音の機内は狭いものの意外に快適で、飛行機とは異なるドローンならではの景色を見ながらの仕事は、不思議と集中できると評判だ。搭乗者の生体情報をセンシングして、最も作業効率が高まる高度やルートを割り出す「FLY-AI」が環境作りにひと役買っている。「移動× 働き方」という有人ドローンの新たな活用方法を取材した。
現在のリモートワークは自宅で作業というイメージですが、働く場所という概念がなくなると、今度は移動しながらの働き方が日常になる未来もありそうです。また、ネットでは体験できない物理的移動にも、あらためて価値を見出すようになるかもしれません。(編集部)
「80歳差のクラスメート」 2052年1月発行 Vol.218より
共通の単位制度を備え自由に授業を選択できる「ユニバーサルスクール・パス」が始まった。参加校であれば、異なる地域や国の授業も組み合わせて単位を取得できる。これらの学校では、直接登校して物理的な空間で受ける授業と、VR空間で受ける授業を自由に選択でき、理由があって登校できない生徒もサポートする。VR授業には年齢制限がなく、アバターで参加するので隣の生徒が実際は誰なのか分からないことも多い。仲良くなったクラスメートが実は100歳を超えており、年齢が80歳以上離れていたというSNS 投稿が話題になったばかりだ。リアルとバーチャルの学校で何が起きているかレポートする。
教育における地域格差や学び直しの環境整備は、世界中で課題となっています。今はパンデミック対策として実施されているリモート授業ですが、これらを解消するための発展的な仕組みと考えることもできそうです。(編集部)
「増殖する親子関係の行く末」 2052年3月発行 Vol.219より
家族にとっても、国にとっても、子どもは大切な存在。しかし一方で、子育てによって自分の選択したい人生を歩めないと考える人もいる。子育てを地域やコミュニティで支え合う仕組みを制度化した「代替親族制」は、期間を設けて親の権利を他人に譲り、その間は子育てから完全に離れるシステム。利用者は意外に多く、中には親の立場に戻らない人もいる。一方で子育てを満喫する“育ての親”も多数。この制度では、1人の子どもに対してたくさんの“親”がいることになるが、出生時に親子関係を証明するDNAがブロックチェーン上に保存されており、本来の血縁関係は保証され、親子ともそれをたどることが可能だ。多数の育ての親を持つ子どもたちに、親子関係とは何か聞いてみた。
子どもは地域で育てるという昔ながらの手法は、自然発生的なものであって、制度化するものではないかもしれません。育ての親が数多く存在するとき、親子関係とは何なのか、もう一度問い直されることになります。(編集部)