緑に囲まれた軽井沢風越学園でワークショップ
「つくる」を大切にする学校でウェルビーイングをつくる
2024.09.18/軽井沢風越学園(長野県)
独自のカリキュラムを通して、「つくる」ことを大切にしている軽井沢風越学園。大人も子どもも、関わる人たちみんながつくり手となるこの学校で、自身の鼓動に触れ共有するワークショップが行われました。その様子をレポートします。
自然に囲まれた環境で3歳から15歳までの子どもたちが一つの校舎で学ぶ、長野県の軽井沢風越学園。この学校では、既存の学校とはひと味違うカリキュラムが組まれており、子どもも大人も「つくる」経験を、“じっくり、ゆったり、たっぷり、まざって”積み重ねています。そして、本気で手間をかけて「つくる」ことに没頭し、ときには不安や不安定さを味わいながら「つくる」ことに挑戦するという姿勢を大切にしています。
そんな風越学園で、渡邊淳司 本誌編集長がファシリテーターとなり、ワークショップが行われました。参加したのは学園の関係者や保護者、子どもたち約20名。参加者は4~5名のグループに分かれました。「誰もが持つ、それぞれ異なるよいあり方」というウェルビーイングの捉え方について説明されたあと、“いのちを感じる“というテーマで「心臓ピクニック」と呼ばれるワークが行われました。聴診器を胸に当てると鼓動に合わせて振動する心臓ボックスを手の上に持ち、自分の鼓動を感じたり、隣の人に渡したりしながら、お互いが生命として存在していることを実感します。次に、チューブでつながった2つのボールを握り合って触覚を伝え合う「触覚共有ボール」を使ったワークで、握る強さや速さで自分の感情を伝えるゲームを楽しみました。
そのあとはそれらのツールを持って教室を出て、ワークを続けました。この日の学園は、生徒たちが一日中、好きな場所で自分(たち)のやりたいことを追求する活動を行っていました。校内で出会った子どもたちと鼓動を感じ合ったり、お互いが見えない位置で空気の触感を送り合って感じ合ったり、さまざまな体験が生まれました。
中には、校庭を飛んでいるトンボをつかまえて、トンボのふるえる動きを心臓ボックスの振動で体感しようと挑戦した子どももいて、大人たちもその発想の豊かさに驚かされました。
風越学園には、他者との関係の中で、たくさんの「つくる」を経験した結果として、自身の輪郭が築かれる、“「 」になる(カギカッコになる)”という言葉があります。ウェルビーイングも同様で、それが何であるか最初から決まっているわけではなく、それぞれの人がそれぞれのやり方で「つくる」ことを通して、実現されていくのです。その環境の重要性を実感した学園への訪問とワークショップでした。
自分や相手の鼓動を触感として感じる「心臓ピクニック」では、目の前の人が生命として存在していることを実感します。子どもたちだけでなく、保護者の方々もその新鮮な体験に驚いていました。
学校の中を自由に動き回るときには、校内で出会う子どもたちに「心臓ピクニック」の体験を広げていきました。各所で心臓ボックスを中心に人が集まっていました。
ワークショップの終わりには、NTTが開発する「わたしたちのウェルビーイングカード」を2枚選び、自分の大切にしていることをグループ内で共有し、お互いをより深く知るためのワークも行いました。
» 鼓動に触れるワークショップ「心臓ピクニック」
https://socialwellbeing.ilab.ntt.co.jp/tool_connect_heartbeatpicnic.html