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ウェルビーイング教育を切り拓く冨士見台中の1学期の歩み

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品川区立冨士見台中学校(校長:石黒 晋、生徒数:251名)は、区のウェルビーイング教育重点校として「ウェルビーイングの学び」の実践を学校全体で推進しています。教職員と生徒が一体となって進めた2025年度1学期の活動についてレポートします。

日常の中で感じ合う授業を超えて広がる学び

品川区では、区の教育重点施策の第一番目に「ウェルビーイング教育の推進」が挙げられています。品川区立冨士見台中学校は、2025年度からウェルビーイング教育重点校に指定され、学校全体でさまざまな活動を進めています(表)。

まず4月には、教職員に向けて、ウェルビーイングの理解を促進するための研修を実施。渡邊淳司 本誌編集長が講師として招かれ、「わたしたちのウェルビーイングカード」を活用したワークショップなどを通じて、ウェルビーイングを肌感覚で理解し、自分ごととして考える機会が設けられました。最初は、「ウェルビーイング」という新しい言葉に戸惑いを感じる教職員もいましたが、研修を通じて、それが、これまでの教育活動を新しい視点で整理し直し、別の価値を加えることだと分かると、前向きに受け止める人が多くなっていったそうです。4月のうちに、同講師による中学1年生(7年生)に向けた導入授業が実施され、カードを使って「自分の大切なこと」を考え、「友達の大切なこと」を知るワークが行われました。

普段の学級活動の中にも、ウェルビーイングの学びが取り入れられました。各クラスの日直は、毎朝「今日、クラスで大切にしたいウェルビーイング」をカードから選び、朝の会で発表、帰りの会で振り返りを行います。この活動を毎日続けることで、生徒が“その日のウェルビーイング”を自然と意識するようになったそうです。

また、行事にもウェルビーイングの考え方が取り入れられています。5月の運動会は、「一人一人が輝けるウェルビーイングな運動会」をテーマに、カードを用いてクラスごとに目標を設定しました。運動が苦手な生徒は旗作りや放送係などで活躍したり、競技にも工夫を凝らしたりして、それぞれの得意を生かした全員が関われる運動会となりました。

ほかにも、図書室では推薦図書がウェルビーイングのキーワードが添えられて紹介されるなど、校内のさまざまな場面に取り組みが広がっています。同校の活動を先導した大橋敏也主幹教諭からは「ウェルビーイングという言葉が教職員や生徒の日常語になったことが、1学期の最大の成果」という所感がありました。

冨士見台中学校のウェルビーイングに関わる活動(2025年度1学期)

:認知 :感情 ◆:行動

対象 開催時期 内容 I W S
教職員 4月11日 教職員向け研修(講師・渡邊)
全学年 通期 日直による朝の会でのWB発表
全学年 年度始め 自己紹介カード
全学年 5月24日 「一人一人が輝けるWBな運動会」の目標決め  ◆
7年生(3クラス合同) 4月14日 WB導入授業
7年生(3クラス合同) 7月14日 ターゲット型エクササイズ(Super Happy Birthday)  ◆
7年生 6月2日〜4日 移動教室の振り返り  ◆
7〜9年生(各クラス2名) 4月18日〜7月7日(全4回) WB委員会の活動(WBカレンダーなど)  ◆
図書館来訪者 通期 WBカードを使った推薦図書
WB委員会 7月26日 コミュニティスクールデー(地域の方との意見交換)  ◆

表 冨士見台中学校で1学期に実施されたウェルビーイングに関わる活動と、それを通して獲得されるウェルビーイング・コンピテンシー(ふるえ Vol.52参照)。※WB=ウェルビーイング

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