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「わたし」の挑戦を、「わたしたち」の挑戦へ。

QUINTBRIDGEが描く持続的な共創と社会的価値の創造

社会課題が複雑化する中、単独の企業や組織では解決が難しくなっています。多様な主体が継続的に関わり、共創を持続させる仕組みをどうつくるか。NTT西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGEクイントブリッジ」は、「社会をよりよくしたい」という思いを起点に、共創のエコシステムを育んできました。その取り組みと社会的価値について、ミライ事業共創室の甲斐由記さんに聞きました。

甲斐由記

甲斐由記
Yuki Kai

NTT西日本 経営企画部ミライ事業共創室。2005年NTT西日本入社。営業、サービス企画、人材育成、D&I推進など幅広い領域を経験し、2025年よりQUINTBRIDGEで企業・学生・自治体・地域をつなぐ共創の場づくりを担当。

「思い」を中心に、人や組織がつながる共創の場

—QUINTBRIDGE(以下、QB)は、どのようにして生まれたのでしょうか?

甲斐由記(以下、甲斐):QBは、NTT西日本の本社敷地内に2022年3月に開設されました。当初は社員研修施設の予定でしたが、計画が見直され、企業やスタートアップ、自治体、大学などが集い、共創を生み出す、地域に開かれたオープンイノベーション施設として整備されました。「QUINTBRIDGEクイントブリッジ」という名前は、非常に大きな数「Quintillionクインティリオン(百京)」と、大阪・京橋の「橋:Bridge」を組み合わせたものです。「100京+橋=100京橋」にちなみ、京橋で多様な人・組織の架け橋となり、共創によって幾多(100以上)の新規事業の創出や社会課題解決に貢献するという意味を込めています。

—QBはどのような特徴を持つのでしょうか?

甲斐:QBは、京都大学の出口康夫教授が提唱し、NTTのサステナビリティ憲章にも掲げられている「Self-as-We」を理念としています。これは、「わたし」の挑戦を「わたしたち」の挑戦へと広げ、一人ひとりの思いを持ち寄り、ともに行動し、社会を前進させていこうという考え方です。一般的な企業のオープンイノベーションでは、自社の事業や課題を中心に置くことがありますが、QBの中心にあるのは「社会をよりよくしたい」という思いです。運営主体のNTT西日本もプレーヤーの一人です(図)。そのため、入会する際には「取り組みたい社会課題」と、技術や知識、人脈といった「提供できるリソース」を登録してもらい、「自らも共創に貢献する」という約束のもとで参加していただいています。一方で、入会金や会費は無料です。会費による収入よりも、会員が持ち寄る多様なリソース(社会関係資本)こそが、価値を生み出す源泉になると考えているからです。

2026年6月現在、法人会員は2,400組織、個人会員は3万2,000人を超えています。年間約500回開催されるイベントの7割は会員が企画、または会員とQBとの共催です。開設から4年間で190件の共創事例が生まれるなど、一人ひとりの思いや活動が新たな仲間を呼び込み、次の共創へとつながる、自律的な活動の広がりが生まれています。

QUINTBRIDGEにおける共創と価値の広がり

図 QUINTBRIDGEにおける共創と価値の広がり。NTT西日本もプレーヤーの一人として、オープンかつ中立的に会員活動を支援する。そして、QUINTBRIDGEが共創の場として生み出す価値が地域社会にも広がり、よい効果を生み出そうとしている。

人・地域への価値を可視化し共創が循環する仕組みへ

—「共創の場としての価値」をどのように説明してきたのでしょうか?

甲斐:これまでQBの価値は、社内に向けて主に3つの視点で説明してきました。まず、新規事業創出や、QBの運営ノウハウを活用したオープンイノベーション施設の提案や支援を通じた事業(売上)貢献です。次に、年間約3,000件のメディア掲載による企業ブランドの醸成。3つ目は、多様な会員との交流を通じた社員の人材育成への貢献です。しかし、QBが生み出している価値は社内だけではありません。現在は、会員や地域社会にもたらすさまざまな価値創出にも目を向けています。

会員は、QBで人と出会い、学び、共創プログラムや実証実験に参加するなど、「学ぶ・繋がる・共創する」体験を得ます。知識や人脈を得て、挑戦への意欲が高まり、行動につながることも価値です。例えば、その体験価値を「いくらなら支払ってもよいか(Willingness to Pay:支払意思額)」と尋ね、定量的に示す方法も検討しています。個々の体験を単純に値付けするのではなく、QBを知ってから共創に至るまでの体験全体を捉え、評価したいと考えています。

—地域に対する貢献はどのように考えられますか?

甲斐:地域社会への価値としては、まず、施設を訪れた人が京橋周辺で食事や買い物をすることによる経済効果が考えられます。そして、地域内外から見た地域価値の向上があります。さらに、QBでは、地域の将来を話し合い、地域課題を持ち寄って企業や住民が考える取り組みも生まれています。QBの活動に触れることで京橋地域への関心や愛着が生まれ、「自分にも何かできるかもしれない」と考えて、意識の変化や行動につながることも、QBがもたらす大きな価値です。

こうした価値を社会に伝えるには、QBで何が起こり、地域にどのような変化をもたらしているのかを可視化する必要があります。このような変化を生み出す共創の仕組みを再現可能なモデルとして示すことができれば、ここで培われたノウハウを他域へ展開できます。そして、NTT西日本がその実装を支えることで、地域課題の解決と新たな事業創出を両立するモデルへと発展させたいのです。社会的価値を測ることは、QBの存在意義を示すだけでなく、この共創の仕組みを持続的に広げていくための基盤にもなるのです。

—そうしたモデルの実現に向けて、現在どのような取り組みを進めていますか?

甲斐:京橋周辺では、企業、行政、大学、地域が日常的につながり、共創を持続的に生み出す「ローカル・イノベーションディストリクト」の形成をめざしています。QBの近くには大阪公立大学森之宮キャンパスも開設され、隣には高校もあります。今後は学生と企業が地域課題に取り組むプログラムなどを通じて、共創が生まれるまちづくりに貢献していきます。

その第一歩として、2026年11月にはNTT WEST i-CAMPUSを地域に開放する「秋祭り」を開催する予定です。音楽やスポーツ、食などを通じ、この周辺地域に住む方や働く方に気軽に足を運んでもらい、楽しんでいただきたいです。その中で、NTT西日本やQB、ここで活動する人たちを知って、「こんな場所があったんだ」と気付いてもらう。秋祭りが、楽しい記憶とともに地域との距離を縮めるきっかけになればと考えています。

QUINTBRIDGE

大阪府大阪市都島区東野田町4-15-82

大阪・京橋のNTT西日本本社敷地「NTT WEST i-CAMPUS」内に立つ3階建ての施設。1階は150人収容のメインステージやカフェを備えた「新たな出会いフロア」、2階はプロジェクトルームやモノづくりスペース、撮影・配信スタジオなどが並ぶ「アイデア実現フロア」。3階は事業拡大をめざすスタートアップや会員の支援組織が入居する。2024年度グッドデザイン賞受賞。

NTT WEST i-CAMPUS 秋祭り       

2026年11月29日(日) / 11:00〜16:30

京橋・森ノ宮で暮らす人・働く人を主な対象としたイベントを「NTT WEST i-CAMPUS」内で実施します。詳細は、NTT西日本のウェブサイトで公開予定です。

メインステージ(1F)

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共創スペース(1F)

共創スペース(1F)

共創スペース(2F)

共創スペース(2F)

ミーティングスペース(3F)

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