オノマトペ(擬音語・擬態語の総称)は、その音韻が身体的な体験と深く結びついていることが知られています。本号の触感コンテンツ100選では、オノマトペのこのような特徴を活かした作品、システムを紹介します。
「音声詩 時の声」
松井 茂(情報科学芸術大学院大学[IAMAS] 准教授)
関連文献
松井茂『時の声』photographers' gallery, 2010年6月
松井茂「口誦さめる詩とは何か?──声を共有する試み」『モノ学 感覚価値研究』vol.5, 京都大学こころの未来研究センター, 2011年3月
渡邊淳司『情報を生み出す触覚の知性』化学同人, 2014年12月CD『松井茂『時の声』engine books, 2016年1月
URL:http://www008.upp.so-net.ne.jp/methodpoem/
「音声詩 時の声」は、ICレコーダーで録音された環境音を組み合わせて制作された「音」による詩を、別の人がイヤフォンで聴取しながらオノマトペの「音声」として読み上げ、また別の人が「音声」の詩を「文字」として原稿化したもので、2009年9月12日『朝日新聞』に発表されました。
この詩は、音や音声の感覚情報を、それぞれの人が持っている音韻や文字のボキャブラリによって分節化し再構成したものといえます。詩を鑑賞するにあたり、仮名原稿化された詩から、もとの具体音を特定することは不可能です。しかし、鑑賞者の多くは、この詩の前に立つと、それを口ずさみ始めます。口ずさむこと、つまりは、その音韻を自身の身体で再生することで身体に調音的、音響的抑揚が生じ、その再生においてのみ詩から感性的な感覚が生じると考えられます。
この詩は、音や音声の感覚情報を、それぞれの人が持っている音韻や文字のボキャブラリによって分節化し再構成したものといえます。詩を鑑賞するにあたり、仮名原稿化された詩から、もとの具体音を特定することは不可能です。しかし、鑑賞者の多くは、この詩の前に立つと、それを口ずさみ始めます。口ずさむこと、つまりは、その音韻を自身の身体で再生することで身体に調音的、音響的抑揚が生じ、その再生においてのみ詩から感性的な感覚が生じると考えられます。
オノマトペで表す感性的質感印象を定量化するシステム
電気通信大学 坂本真樹 研究室
URL:http://www.sakamoto-lab.hc.uec.ac.jp
連絡先:sakamoto_at_inf.uec.ac.jp ( _at_ を@に変更してご利用ください。)
オノマトペは、視覚(「きらきら」)や触覚(「さらさら」)などの五感を通して知覚した印象を直感的に表す表現として、日常的に使われています。当研究室では、任意のオノマトペを入力すると、知覚した印象を視覚や触覚などに関連する多次元尺度で自動的に数値化するシステムや、素材感を数値で入力すると新しいオノマトペを生成するシステムを開発しています。