13号に寄せて
私たちは常に重力の影響下で生活しています。一瞥しただけでは、触覚や触感と、重力が直接的に関係しているようには見えないかもしれません。今回、編集部は、私たちが自分自身の身体で感じる「重力の実感」は、実は空間に対しての身体感覚や肌触りなのではないか?といった仮説を立てました。今号の特集では人間が重力を感じる仕組みや、重力を意識しながら身体を驚くべき精度で操る身体感覚、そして、重力に抗うテクノロジーとしてのドローン、ドローンを使い身体を拡張するスポーツといった観点から「重力の肌触り」を考えてみました。
目次
- 地球上で感じる重力と身体感覚のヒミツ
- シンクロを通じて得た水中での自由な身体感覚
- 空中を自在に飛び回るドローンのヒミツ
- ドローンからの映像が生み出す身体拡張
- ショッカソン2017
- ブックレコメンド
- 編集後記
REPORT
Ars Electronica Festival 2017 2017.9.7-11 /オーストリア・リンツ
オーストリアのリンツ市で、世界最大級のメディアアートの祭典「アルス・エレクトロニカ・フェスティバル2017」が開催されました。アルス・エレクトロニカ・フェスティバルは、1979年に電子音楽祭として開始され、近年は、音楽に限らずアート、テクノロジー、ソサエティをつなぐイベントとして毎年リンツ市で開催されています。本年は「Artificial Intelligence - The other I」というテーマで、元郵便局の巨大な建物を中心に作品展示やカンファレンスが行われました。5日間で10万人以上の参加者がありました。展示内容はAIだけでなく、高精度3Dプリンタや8Kプロジェクションといった最新技術を使ったものや、ロボットを使ったパフォーマンス、教育のためのツール、現代美術まで多岐にわたるものでした。NTTの研究所も、アルス・エレクトロニカ・フューチャーラボとのドローンを使ったナビゲーションやコミュニケーションに関する共同プロジェクトのデモンストレーションを行いました。
5台のドローンが光りながらあるルールをもって動くことで、「Go」「OK」「No」などのサインを送るデモンストレーションの様子