空間と言語を超えて心を通わせる取り組みを国連本部で紹介
国連を支える世界こども未来会議
〜プロジェクト発表イベント in New York〜
The Children’s Conference of the Future in Support of the United Nations ~Project Launch Event in New York~
2023・07・19/国連本部DDR(米ニューヨーク)
子どもたちが平和を考える会議 国連本部で成果を発表
一般財団法人ピースコミュニケーション財団は2023年7月19日、米ニューヨーク市の国連本部DDR(Delegates Dining Room)にて「国連を支える世界こども未来会議 ~プロジェクト発表イベント in NewYork ~」を開催しました(NTTはプロジェクトに協賛・協力しています)。今回の国連本部訪問では、2023年3月に開催された「第3回 国連を支える世界こども未来会議」(ふるえVol.46参照)の成果をまとめたアイデアブックを、日本から訪れたキッズアンバサダーが国連本部に提出しました。その後、DDRにてその成果を発表するイベントが開催されました。
イベントではまず、「国連を支える世界こども未来会議」[※1]の報告と将来展望について、財団代表の一木広治氏より発表がありました。その後、会議に参加した子どもたちが、お互いのことをよく知り、活発な議論ができるように使用された、NTTのツールのプレゼンテーションと実演が行われました。3月の会議では、NTTが開発した「わたしたちのウェルビーイングカード」を使うことで、よりスムーズに平和実現に向けたアイデアの議論が行われました。そして、子どもたちが短い時間でお互いをよく知るために、心臓の鼓動に触れ合う体験が行われました。
「わたしたちのウェルビーイングカード」の プレゼンテーションを実施
会議で使用された「わたしたちのウェルビーイングカード」は、ウェルビーイングの要因が書かれた32枚のカードで構成されています。2023年3月の会議では、子ども向けに枚数を減らした日英2カ国語版が使用され、言語の違いを超えて、平和にとって大事なテーマを議論し、具体的なアイデアを一緒に考えることができました(写真1)。
プレゼンテーションでは、カードの基本的な使い方や、カードの「I/ WE / SOCIETY / UNIVERSE」という4つのカテゴリー、さらには、グループでお互いのウェルビーイングを認め合い、お互いの考えを尊重しながらやり取りすることで「わたしたち」のアイデアを共創できるという特徴について解説がなされました。そして、カードの紹介の中で、“What is important in your daily life?”(あなたは日常生活の中で、何を大事にしていますか?)という問いに対して、キッズアンバサダーたちが、特大カードを使って自分の大事なことを発表しました。3人は、それぞれ「自分らしさ」「思いやり」「挑戦」といったカードを選び、その理由を自分の言葉で発表しました(写真2)。
[写真1] 日英2カ国語版の「わたしたちのウェルビーイングカード」には、表面にウェルビーイングの要因、裏面には要因の解説が日本語と英語で書かれ、言葉の壁を越えたコミュニケーションの一助になります。
[写真2] 「わたしたちのウェルビーイングカード」の紹介のあと、日本から訪れたキッズアンバサダーが自分たちが選んだ要因を掲げながら、自分自身のウェルビーイングについて発表しました。
東京にいる子どもの鼓動をニューヨークへ伝送
次に、自分や相手の心臓の鼓動を、触覚を通じて感じ合う体験について解説が行われました。3月の会議では、アイデアを考えるチーム内で子ども同士のアイスブレイクとして行われました。この体験は、聴診器を胸に当てると、心臓と同じくらいの大きさの四角い箱が鼓動に合わせて振動する装置を使って、お互いを生きている存在として感じ合うワークショップ「心臓ピクニック」[※2]の一部を再現して行われました。
国連本部のプレゼンテーションでは、鼓動に合わせて振動するだけでなく、光が明滅するボール型の装置を使用。そうすることで、持っている人の心臓の鼓動を来場者に視覚情報としても伝えることができました。まず会場に来場した子どもたちに、発表者の鼓動を直接手で持って感じる体験をしてもらいました(写真3)。子どもたちからは「(装置が)まるで生きているようだ」という感想がありました。
さらに今回は、東京にいる子どもの心臓の鼓動を6800マイル(約11,000 km)離れたニューヨークにライブで伝送し、会場の子どもたちが振動として感じるという、鼓動の振動伝送体験(ハートビート・エクスペリエンス)を実施しました。東京・大手町のNTT本社と国連本部を結び、映像を通じてお互いに挨拶をしたあと、東京の子どもが聴診器を自分の胸に当てます。すると、ネットワークを経由して国連本部にあるボールが心拍に合わせて光りながら振動しました(写真4)。遠隔から送られてきた鼓動を感じた子どもたちからは、「実際は地球の反対側にいるのに、すぐ近くにいるみたい」といった感想が出ていました。
[写真3] 発表者の心拍を来場した子どもたちがボール型の装置を使って感じるという体験をしてもらいました。「まるで生きているようだ」という感想もありました。
[写真4] 会場であるニューヨークの国連本部から6800マイル離れた東京のNTT本社をつなぎ、東京にいる子どもの心拍を会場の子どもたちに届けました。距離を感じさせない不思議な体験になりました。
プレゼンテーションのあとは、サムライギタリストMIYAVIさんによるライブパフォーマンスが実施され、「国連を支える世界こども未来会議」のテーマソング「That‘s What I’m Gonna Be」が披露されました。途中で子どもたちもステージに上がり、名前と将来の夢を発表して、MIYAVIさんと子どもたちが一緒に歌うというパフォーマンスとなりました(写真5)。
[写真5] サムライギタリストMIYAVIさんによる「国連を支える世界こども未来会議」のテーマソングが披露されました。ステージ上では、子どもたちも参加してのセッションが行われました。
[※1]「国連を支える世界こども未来会議」は、世界各国の子どもたちが集まり、SDGs を軸に平和で豊かな世界について語り合うピースコミュニケーションの場として、2019年にスタートし、2023年2月には国連からタイトルの認定を受けている。
[※2]渡邊淳司、川口ゆい、坂倉杏介、安藤英由樹「“心臓ピクニック”:鼓動に触れるワークショップ」、日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vol.16(3) pp. 303-306, 2011.