ISO 25554:2024 第1回 相互認定会
ウェルビーイング推進のISO標準企業実践事例の発表会を実施
WELL-BEING TECHNOLOGY 2026 特別企画
2026.1.30/東京ビッグサイト 西2ホール
ウェルビーイングを推進する実践を相互に確認し合う
2026年1月28~30日の3日間、東京ビッグサイトにて、ウェルビーイングに資するサービスや素材、センシング技術やAI技術に関する展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY 2026」が開催されました。その中の特別企画として、「ISO 25554:2024 第1回 相互認定会」が行われました。会では、産業技術総合研究所の佐藤 洋氏と社会的健康戦略研究所の浅野健一郎氏が解説を担当し、NTT株式会社 社会情報研究所と株式会社JTB(MY LIV PROJECT事務局)のグループ、パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社、NECソリューションイノベータ株式会社が実践事例を発表しました。
冒頭で佐藤氏が、ウェルビーイングを推進するための枠組みとなるISO 25554[※1]の概要を説明しました(写真1)。この規格は2024年11月に策定された、地域や企業等におけるウェルビーイングを推進するためのガイドラインで、「ウェルビーイングとは何か」を定義するものではなく、それぞれのコミュニティが自律的にウェルビーイング推進のPDCAを回すための指針です(ふるえVol.52参照)。「自分たちのウェルビーイングを、自分たちで決め、行動し、続けていくことが大切」と佐藤氏は述べ、この規格があくまでそれぞれの実践をサポートするツールである点を強調しました。
写真1 産業技術総合研究所の佐藤 洋氏は、ISO 25554があくまでもフレームワークであり、ウェルビーイング推進のツールであることを強調した。
続いて浅野氏が、現在のところISO 25554は、ISOが認定した審査機関による認証システム(Management System Standard:MSS)ではなく、①自己宣言による推進、②相互認定による推進、③第三者認定による推進が可能であることを述べました(写真2、図1)。自己宣言とは、規格の推進団体が、自らの実践がISO 25554に沿っていることを自ら発信することです。最も手軽な方法であり、その発信方法の一つとして、実践をウェルビーイング学会に論文として発表することが推奨されています[※2]。相互認定とは、推進団体が集まり、それぞれのウェルビーイングに関する実践がISO 25554に準拠していることを、お互いに確認し合う認定のあり方です。これは、推進団体同士が互いの知見を深め合うアプローチと言えます。第三者認定とは、ISO以外の専門団体によって、その適合を認められるという仕組みです。推進団体の性質や状況、実践事例の特徴に合わせて認定形式を選べる点も、ISO 25554の大きな特徴となっています。
写真2 社会的健康戦略研究所の浅野健一郎氏は、ISO 25554の認定方法が従来の認定審査機関による認証システムとは異なる仕組みである点を解説した。
図1 現在のISO 25554認定方法。よく知られているMSSのあり方(左)とは異なり、ISO 25554の認定(右)は、①自己宣言、②相互認定、③第三者認定が可能となっている。
なお、この会では発表者に対して、事前にワークシートやチェックシートのフォーマットが提供されており、3者が同じフォーマットに則ったかたちで発表を行いました(図2)。
図2 利用されたワークシート(作成:NTT社会情報研究所)
ウェルビーイングの実践を議論する共通言語としてのISO
それぞれのプレゼンテーションのあとには、お互いの実践について質疑応答や議論が行われました。企業研修旅行というサービス、AI活用促進プロジェクト、約1万3,000人の従業員のウェルビーイングと、異なる分野における実践でしたが、同じフォーマットで発表されることによって、目線をそろえて議論することができました。ガイドラインを参照しながら、「集団のウェルビーイングはどのように決めたのですか?」「振り返りや経営層への報告で気を付けたことは?」といった質問が活発になされました。今回、相互認定がなされた3つの取り組みは、すでに実施された取り組みをISO視点から分析するというかたちでしたが、それであっても、ウェルビーイングの視点から自分たちの強みや課題を整理し、前進するためのきっかけとなったと考えられます。
相互認定された3つの事例

ウェルビーイング視点に基づく
企業研修旅行デザイン
NTT株式会社 社会情報研究所 土屋志高氏
JTB株式会社(MY LIV PROJECT事務局)横田裕美氏
研修参加者が旅の中で、その地ならではの社会起業家との出会いと協働の体験を通して、自身のウェルビーイングを再確認し、それと企業のパーパスとの調和を育む旅を設計するための、ISO25554:2024に準拠した活動シナリオ。

AI活用促進プロジェクトによる
“はたらくWell-being”向上
パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
成瀬岳人氏
AI技術の導入と活用支援が従業員のウェルビーイング向上に寄与するかを検証。EXジャーニーの観点から「関心をもつ」「体験する」「学ぶ」「活用する」の4つのプロセスで施策を設計・実施してAI活用を促進。Work Switch Scoreを評価指標として計測・検証を行った。

きらねすプロジェクト
—社員Well-being推進プロジェクト
NECソリューションイノベータ株式会社
栗原 司氏
社員のウェルビーイング向上を通じた組織パフォーマンスの最大化を目的とした人的資本経営推進活動。健康・成長・働きがいの3領域において、ISO 25554:2024準拠のPDCAサイクルを実施し、社員と会社の価値が連動するValue Creation Cycleの好循環を創出。
[※1]『国際規格でつくるウェルビーイング:ISO25554で考える組織・地域に合わせた設計指針』佐藤 洋 著(日本規格協会・2026)
[※2]ウェルビーイング学会学会誌 Journal of Wellbeing Vol.1(2025年12月)には3編の論文が掲載されている。
https://society-of-wellbeing.jp/journal/
(学会員のみ閲覧可能)
