Home / “つながり”のウェルビーイングに向けた技術
Column1

身体性が実感をつくり、物語性が意味をつくる

“つながり”の

ウェルビーイングに向けた技術

人々が主体的に関わり合い協働する社会の実現に必要なもの

人は誰でも、ウェルビーイングでありたいと願うものです。しかし、山口 周氏のインタビューでも語られているように、その状態は自然に保たれるものではなく、意識的に行動し、自身をケアする戦略や力(コンピテンシー)を身に付けていく必要があります(ウェルビーイングに生きるための経営戦略 参照)。また、自分のウェルビーイングを大切にできる社会は、同時に他者のウェルビーイングも大切にする社会でもあります。その実現には、これまで本誌で紹介してきた「わたしたちのウェルビーイングカード」のような他者の価値観を知るツールや、プロセスのイメージを記述する共通言語として、ISO 25554(地域や企業等におけるウェルビーイングを推進するためのガイドライン)のようなガイドラインが必要となるでしょう(ウェルビーイング推進のISO標準企業実践事例の発表会を実施 参照)。

では、このような、人々が主体的に関わり合い、協働する社会を実現するには、どのような技術が必要でしょうか。NTT社会情報研究所のウェルビーイング研究では、「身体性」と「物語性」を重要だと考えています。身体性とは、相手の存在を実感し、呼吸やタイミングを合わせながら関わるための基盤です。例えば、大阪・関西万博で展示された触覚を使った遠隔コミュニケーション技術「ふれあう伝話」(ふるえVol.58参照)は、離れた場所にいても相手の存在を感じながら関わることを可能にし、公共空間での新しいつながり方を示しました(写真)。

一方、物語性とは、自分がなぜそこにいるのか、自分がどのような関係の中にいるのかといった意味付けを支えるものです。同じく万博で展示された「せかいがきこえる伝話」(同Vol.59参照)は、公衆電話を通じてさまざまな人の物語に触れることで、自分自身の存在や記憶を振り返るきっかけを生み出しました。このように、身体性や物語性は、人と人、人と社会の関係をより深め、主体的に関わり合える社会を実現するための重要な要因であると考えられます。

写真 大阪・関西万博で展示された「ふれあう伝話」(左)と「せかいがきこえる伝話」(右)。

Copyright © NTT