せかいがきこえる伝話ストーリー
「#408 グッドナイト」「昔ここに電話ボックスがあったなと、覚えている場所があります」
プルル…プルル…
「これは携帯電話がなかった時代の、恋人たちの思い出」
ガチャ
女「もしもし(ひそひそ)」
男「あ、ユウジです。いまひとり?」
女「うん、自分の部屋で子機使ってる」
男「寝る前に、なんか声が聞きたくて」
女「いま家?」
男「いや実は…電話ボックス」
女「え、どこの?」
男「ユキの家の前の公園」
女「ええっ!?」
男「部屋の灯りがここから見える」
女「なんなの(笑)」
男「チカチカッて、やってみて」
女「え、なに?」
男「電気つけたり消したりしてみて」
女「わかった……こう?」
男「おおっ、これでモールス信号できるね。オヤスミのサインとか」
女「ばっかじゃないの?(笑)」
男「なんで? いいじゃん!」
女「そんなの電話で言えよ!(笑)」
男「あ、そうじゃん」
女「ばーか。もう切るからね」
男「あ、おやすみ、ユキ」
女「うん、ユウジもおやすみ」
男「うん、おやすみ」
女「おやすみ。切るね」
男「うん、おやすみ」
女「おやす…」
ガチャ
男「時間切れか。おやすみ」
「恋人たちのことを誰よりも知る存在。それが電話ボックスでした」