ハプティックラボ探検隊 [探検先]肉肉学会(稲見昌彦研究室)
VR の先にある、肉を食べる研究会?
気になるラボを探検する本コーナー。「肉肉学会」という、かなり直球な名前の研究会。VRの研究をされているはずの東京大学の稲見昌彦教授が立ち上げメンバーと聞き、肉とVRの関係について話を伺いました。

—肉肉学会って何をしているんですか?

稲見:肉に関するテーマでさまざまな考察をしていくコミュニティですね。本当にいろいろなアプローチで肉に取り組んでいます。すでに16回も開催されていて、全日本食学会の肉料理部会分科会にも認定されています。あと、おいしい肉を食べます。

—VRの研究をされている稲見さんが、どうして肉 肉学会なんですか?

稲見:VRで没入感を高めるためには五感提示が必要なわけですが、視覚、聴覚、触覚までは記録や伝送、生成ができても、味覚と嗅覚はしばらく難しい。電気で刺激することはできても、生成までの道のりは長い。だからVRとは逆のフィジカルなものも追究したいということで、その代表である「食」に興味を持ちました。食とVRには共通点もあるんです。

—食とVR の共通点って何ですか?

稲見:両方とも五感すべてを使うという点ですね。食べるって、見た目によって味が変わるとか、触覚的なテクスチャが大事とか、いろいろな感覚が影響しますし、文化にも関わっていて、日本人の私たちがおにぎりをナイフとフォークで食べるとたぶんまずく感じるとか。そう考えると、食は五感すべてを利用するメディアですね。

—えーと、食ってメディアなんですね。

稲見:これまで食の話と言えば、カロリーや栄養、まさに物質的な世界の話が多かったのですが、ある程度お腹が満たされると、おいしい食べ物、好きな食べ物を食べて心を満たすという、個人の主観の世界になってきます。物質だけでなく情報の伝達や消費の話になってくるんですね。

—何となくメディア論っぽい話になってますけど、それがなぜ、みんなでおいしい肉料理を食べるという……

稲見:人類がなぜ調理を始めたかという話がありますが、その理由のひとつとして、食べ物を調理することで効率よくエネルギーを取り込めるからということがあります。肉は生肉のまま食べて、そのまま人間の肉として機能するようにしてしまったほうが簡単じゃないですか。なぜわれわれは、消化というプロセスを経なければいけないのか? 食材って、すでに形や機能を持っていて、そのまま吸収するのは難しいんですね。そこで、その情報をいったんバラバラにするために、つまり生体にとって素材になるように、いったん消化しているんです。それをマテリアルとして、人間の身体の中で組み直すわけですね。食は生理学や栄養学だけじゃなくて、文化論やシステム論、情報学からも扱うことができるわけです。

—スミマセン、肉肉学会がVRと関係あることは何となくわかりましたので、終わります。

次の探検へ続く


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