12号に寄せて

繰り返し述べられる「物質的な豊かさから、精神的豊かさへ」という言説。1960年代半ばに3C（クーラー／車／カラーテレビ）の普及がはじまり、今では、ほとんどの日本人が手元に高性能コンピュータを持って生活しています。高度経済成長時代に存在した、技術が人間をしあわせにする、という素朴な夢は実現されたのでしょうか。現在、「何が人をしあわせにするのか？」という問いへの、学問的研究が再び勃興しつつあります。そこで、本号では快・不快や、コミュニケーションに関する生理学的な研究や情報技術からのアプローチについてインタビューを行い、そして「しあわせへの問い」をめぐる概説的な解説を寄稿いただきました。私たちにとっての「ユートピア」はどこに存在するのでしょうか。